昆虫図鑑・ウスバキトンボ

ウスバキトンボ

昆虫図鑑・ウスバキトンボ
昆虫図鑑・ウスバキトンボ 1 昆虫図鑑・ウスバキトンボ 2
昆虫図鑑・ ウスバキトンボ 3 昆虫図鑑・ウスバキトンボ 4

名前 ウスバキトンボ
分類 トンボ目・トンボ科
学名 Pantala flavescens
分布域 国内では、北海道から沖縄地方まで広く分布している
大きさ 全長4.5~5.5cm程度
出現期 成虫は主に4~11月頃に見られる
食べ物 成虫は昆虫類、幼虫はボウフラや小さな水生昆虫など
越冬 国内では、ふつうは冬には死滅する

●分布域
●大きさ・特徴
●生態・生活
●参考・その他

ウスバキトンボは、世界のほとんどの地域に分布していて、国内でも各地でふつうに見られる。

長距離を移動するトンボとして知られていて、国内では、春になって東南アジアなどから飛来してきたものが、徐々に北へと北上していく。


ウスバキトンボの分布域

ウスバキトンボは、世界の熱帯から亜熱帯地域にかけて見られるトンボの仲間で、もっとも広い分布域をもっていると言われている。

南極大陸以外の大陸で見られ、かなりの個体数がいると言われていて、国内でも北海道から沖縄地方まで広く分布している。


ウスバキトンボの大きさ・特徴

ウスバキトンボは全長45~55mm程のトンボで、後翅の基部がチョウトンボの様に広く、翅は大きい。

名前(薄羽黄蜻蛉)のように、翅は薄くて透明で、体色は淡い黄褐色や黄褐色、赤褐色のような色をしている。

腹部の背側には黒い縦筋があり、それを横切るように細い横筋があるのが特徴になっている。

雌雄ともに同じような色をしているが、雄は成熟すると腹部の背側が赤っぽくなる。
その為、赤トンボの仲間のようにも見えるが、ウスバキトンボは所謂アカトンボと呼ばれるアカネ属ではなく、ウスバキトンボ属に属している。

また、アキアカネナツアカネの胸には、はっきりとした黒っぽい太い筋があるが、ウスバキトンボは、この筋が細くてはっきりしてしない。


ウスバキトンボの生態・生活

ウスバキトンボは、低地から山地にかけての水田やため池、湿地などのほか、湖沼周りなどに生息している。
時には市街地近郊の公園の池や学校のプールなどでも見られ、様々な水域に適応している。

また、河川周辺でも見られるが、ウスバキトンボは止水域を好むようで、川では中流や下流域の流れの緩やかなところで見られる。

成虫は、主に4~11月頃にかけて見られるが、ウスバキトンボは東南アジアなどの南方からやってきて、次第に北へ向かって広がっていく。

春から初夏にかけては数が多くなり、お盆のころには各地で観察数が多くなる。

その為、地方によっては「ボントンボ」や「ショウリョウトンボ」、「ホトケトンボ」などと呼ばれることもある。

また、国内では冬を越せずに死滅してしまうが、カムチャッカ半島まで北上すると言われている。

海の上を移動している様子も見られるが、ウスバキトンボは、年間を通すとおよそ18,000 kmもの長い距離を複数世代に渡って移動すると言われている。
1世代では6,000kmほどにもなり、昆虫種の中では最も長い渡りをすることが知られている。

翅が薄く、体もシオカラトンボの様にしっかりとしていないが、これも体を軽くし、長距離を移動するのに適したものになっている。

飛ぶ時はあまり羽ばたくことなく、大きな翅で風をとらえ、滑空するように飛ぶことができる。
その為、ウスバキトンボは長時間の飛行ができ、長距離を移動することができると考えられている。

夜間や休んでいる時などは、草や木の枝につかまって止まっているが、日中の多くの時間は、飛行して餌をとったり移動することに費やしている。

成虫はガなどの小型の昆虫類を食べ、しばしば空中で群れになってとらえている様子が観察できる。

ウスバキトンボの交尾は空中を飛びながら行われ、産卵は平地の水田や池沼などで行われる。

雌はさまざまな水域で産卵し、時には学校のプールや市街地にある公園の小さな池や、貯水槽などで産卵することもある。

ウスバキトンボの産卵は、雌雄が繋がったままで行われたり、雌が単独で産卵する。
雌は、腹の先で水面を叩くようする打水産卵を行うが、トンボ類の中では産卵数が非常に多いと言われている。

幼虫はミジンコやボウフラなどを食べて成長するが、卵から羽化するまでの成長は早く、ひと月からひと月半ほどで羽化する。

成虫は、ほかの多くのトンボ類とは異なり、羽化した水域に留まることがなく、広範囲を移動し、北への分布域を広げていく。

しかし、ウスバキトンボは寒さには弱く、国内で見られるものは、冬には死滅してしまう。

八重山諸島の石垣島などでは、幼虫での越冬が確認されているが、国内で見られるほとんどのものは、翌年になって南から渡って来たものと言われている。
その中には、インド北部やチベットから飛来するものもいると言われている。


ウスバキトンボについての参考・その他

ウスバキトンボは世界の幅広い地域に分布していることもあり、翅は透明だが、オリーブ色や黄色、茶色を帯びたようなもの見られ、中には黒っぽい翅をもつものも知られている。

また、学名の「Pantala」は「すべての翼」というような意味で、ウスバキトンボの大きな翅に由来していて、「flavescens」は「黄色がかった」という意味で、胸の色に由来すると言われている。

尚、ウスバキトンボは世界に広く分布しているにも関わらず、現在のところ亜種はいないとされている。

●トンボ科の昆虫ヘ
●このページの上へ


 「プライベート・インセクト・ブック」は昆虫図鑑です
主に身近で見ることができる昆虫を中心に写真と一緒に紹介しているので、昆虫写真集などとしても利用してみてください

動物図鑑
魚類図鑑
鉱物図鑑
星座図鑑
滝と渓谷・水のある風景
百人一首の風景